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「宗像三女神について」

Photo  10月1日のブログ「田島様の秋祭り:宗像大社秋季大祭」の中で記載していた、「宗像大社の惣社(辺津宮)に鎮座しておられる女神は長女」の記述に、友人から問い合わせがあり、私の思い込みが間違っているかも知れないと思って調べてみました。
 宗像大社の三女神は、天照大神の娘として、”古事記”や”日本書紀”の中に登場します。そこで我が家にある”古事記”、”日本書紀”、それに宗像大社の宝物殿で買い求めた「むなかたさま」という本を見直して見ました。

 まずは古事記の記事から調べると

■古事記 上巻 (講談社学術文庫)
 天照大御神と須佐之男尊
  二 二神の誓約生み
●現代語訳
 ≪…吐き出す息の霧から成り出でた神の御名は、タキリビメノ命、またの御名はオキツシマヒメノ命という。次に成り出でた神はイチキシマヒメノ命、またの御名をサヨリビメノ命という。次に成り出でた神はタキツヒメノ命である。≫
 さらにその後の行に
 ≪そして、その先に生まれた神のタキリビメノ命は宗像大社の沖つ宮に鎮座されている。次にイチキシマヒメノ命は宗像大社の中つ宮に鎮座されている。次にタキツヒメノ命は宗像大社の辺つ宮に鎮座されている。この三柱の神は、宗像君等があがめ祭っている三座の大神である。…≫

 これに従えば、長女のタキリビメノ命は沖ノ島の沖津宮、次女のイチキシマヒメノ命は筑前大島の中津宮、三女のタキツヒメノ命は宗像市田島の惣社・辺津(ヘツ)宮に祀られていることになる。

 しかし、日本書紀の記載は異なっている。

■日本書紀 (教育者新書)
 巻第一 上 第五段
●現代語訳
 ≪…そこでアマテラス大神は、すぐさまスサノオ尊の長剣を求め、三つに折り、天の真名井ですすぎ、がりがりと噛みに噛んで、ふうーつと吐き棄てた息吹の霧の中から生まれた神は、名は田心(タゴリ)姫という。つぎに湍津(タギツ)姫。つぎに市杵島(イチキシマ)姫。合わせて三女である。…これが筑紫の胸肩(ムナカタ)君らが祭る神である。≫
 日本書紀では、長女がタゴリ姫、次女がタギツ姫、三女がイチキシマ姫となる。しかし、古事記と違って祭られている場所には触れていない。
 日本書紀本文は上記だが、実は別に三つの”一書”が付いている。聖書で言えば”外伝”のようなものだ。それを読むといよいよ分からなくなる。

一書の1:≪…(アマテラスは)言い終えて、まず帯びていた十握剣(とつかのつるぎ)を食べて生じた子をオキツシマ姫という。また九握剣(ここのつかのつるぎ)を食べて生じた子をタギツ姫と名付けた。また八握剣(やつかのつるぎ)を食べて生じた子を、タゴリ姫と名付けた。合わせて三女神である。…日神の生んだ三女神を筑紫洲(つくしのくに)に降らせた。…≫

一書の2:≪…アマテラス大神が、大きな曲玉を、天の真名井で浮寄(すす)ぎ、玉の端をかみ切って、吹き出す息吹の中に生じた神を、イチキシマ姫命という。これは沖津宮に居る者だ。また玉のまん中をかみ切って、吹き出す息吹の中に生じた神を、タゴリ姫命とよぶ。これは中津宮に居る者だ。また玉の尾(しり)をかみ切って、吹き出す息吹の中に生じた神を、タギツ姫命とよぶ。これは辺津宮に居る者だ。合わせて三女神だ。…≫

一書の3:≪…こうして日神がまず、その十握剣を食べて生じた子が、オキツシマ姫命。またの名がイチキシマ姫命。また九握剣を食べて生じた子が、タギツ姫命。八握剣を食べて生じた子が、タキリ姫命。…≫

まとめると、
 本文では、長女がタゴリ姫命、次女がタギツ姫命、三女がイチキシマ姫命。
 一書の1では、長女がオキツシマ(タキリ)姫命、次女がタギツ姫命、三女がタゴリ姫命。
 2では、長女がイチキシマ姫(沖津宮)、次女がタゴリ姫命(中津宮)、三女がタギツ姫命(辺津宮)。
 3では、長女がイチキシマ姫命、次女がタギツ姫命、三女がタキリ姫命。
となっていて、それぞれバラバラの表記である。名前も微妙に異なる。
 では、当の宗像大社の文献ではどう扱われているかというと

■宗像大社の出版物「むなかたさま」より
 ≪宗像大社にお祭りしている神様は、田心(タゴリ)姫命、湍津(タギツ)姫命、市杵島(イチキシマ)姫命という三柱の姫神です。タゴリ姫命は大社の沖津宮に、湍津(タギツ)姫命は中津宮に、市杵島(イチキシマ)姫命は辺津(ヘツ)宮に、主神としてお祭りしています。≫

 とあって、女神の名称は日本書紀本文の表記ですが、長女、次女、三女の区別はしていません!いやあ、困ったぞ~!
 
 こうなれば奥の手を使うしかありません。宗像大社に直接聞いてみることです。が、実は私達の音楽仲間に権禰宜さんがいるのでした!その昔は宗像大社で神職をしておられたのでした。で、早速メールで問い合わせました。最初からそうしておけばよかったのですが・・・・(sigh!)

 答えが返ってきました。一応、宗像大社の見解として「沖津宮が長女の田心(タゴリ)姫命、中津宮の湍津(タギツ)姫命が次女で、辺津宮が三女の市杵島(イチキシマ)姫命」だそうです。沖合に行くほど年長ということですね。これにて一件落着!ホッ(冷汗)!

 お伊勢さんでは、式年遷宮が執り行われていました。しばし、秋の夜長、思いを神代の昔に馳せてみてはいかがでしょうか?

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